まま母

2012年06月23日

"step mother" って日本語で何て言うんですか?

と学生に聞かれて、困ることがよくある。

実母ではないけれど、父親の婚姻の結果
法的に自分の「母親」となっている人のことだ。


「まま母」って言っちゃうと
シンデレラに床そうじさせてた、あの意地悪〜〜いおばちゃんを連想してしまう。
ちょっと違うんだよなあ。。。


日本社会では、step motherがあまり存在しなかったから言葉が無いのか

それとも

step motherも実母であるお母さんと差別しないよう、言葉を作らなかったのか

その辺は定かでないが、
とにかく ピタリ!とくる日本語が、思いつかない。


いずれにせよ
ここアメリカでは、私はマイケルの「step mother」だ。


そのマイケル。
2ヶ月ほど前から家を出て、独り立ちをめざし
仕事をしながら友達の所に居候して暮らしている。




先週の日曜日は「父の日」だったので

「ごはん食べに寄んなさい」と

マイケルを家に呼んだ。


その日、夕方6時から仕事に行かなければならなかった彼は
(ピザ屋で働いています)
長居はできなかったけれど、
久しぶりに顔を見せに立ち寄った。


顔を見たのは3週間ぶりぐらいだった。



仕事着だったせいか、
少し見ない間に随分お兄さんになったなあ〜〜と感じた。

まま母


しかも、ちょっと前まで写真を嫌がって滅多に撮らせなかったのに、
この日はカメラを向けたら ふわりと 笑顔さえみせた。


ちなみに
これは2年前のマイケル。

まま母
(この時も、日本の私の両親が送ってくれたクリスマスプレゼントのダウンジャケットのため
何とか撮らせた一枚だった)




この2枚を比べてみると、明らかに男くさくなってきたなあ〜〜というか
(ある意味、むさくるしくなってきたというか?... 笑)

成長しているのだなあと感じた。




私は今でも、ふと考え込んでしまうことがある。




私という人間が
しかも日本人という、全く異質の文化からやって来た人間が
マイケルの人生の、しかも最も多感な時期に入り込んできたことが
彼の人生にどれだけの軌道修正を強いたのだろうかということを。


夫は、自分の意思で
私という人間を選んでくれた。

でもマイケルは、そうではない。


彼は、ある意味、大人の決断に
むりやりつき合わされたようなものだ。

しかも私は異文化からやってきた人間で

例えばbreakfastといえば、
ごはん、みそ汁、漬け物に目玉焼き
と思う人間で、
朝っぱらから甘ったるいワッフルを焼いて、シロップたっぷりかけて食卓に出そうなどとは思いもしない。

家族の誰かが病気だ!となると

「おかゆ」

え? チキンスープ? 何それ?

という感じでしょうか。。。


躾にしても


「食べものを粗末にするな」

「体は親が与えてくれた贈り物だ。1つしかない、替えがきかない。大事に扱え。」

「因果応報。他人にしたことはいずれ自分に返ってくる。」

「誰も見ていないと思ってもお天道様は見ているよ」


めちゃめちゃ物質主義社会のアメリカの、ティーンエージャーが聞いたって
「はあ〜〜??」というような、(古い)日本人の信条を
そのまま口すっぱく、繰り返してきた気がする。


それが、果たしてマイケルにとって良かったのかどうか
彼にどんな影響を与えてきたのか、、、

私には分からない。


そんな事よりもこの辛辣なアメリカ社会で生き延びていくためには
もっと大切な「生きる術」があったのかもしれないが
この国で育っていない私には、その叡智が無い。

始めから、とにかく何もかもが手探りだった。

彼がそろそろ20歳になろうとしている、いまでも
果たしてこれでよかったのだろうかと
疑問ばかりが残っている気がする。。。




その日、玄関口を開けて入ってきたマイケルは
開口一番

「Happy Father's Day...」と

ぼそっと

夫に向かって言った。


そんな事、自分から率先して言う子じゃなかったので
ちょっとビックリ。
(夫も不意をつかれて「Thank you」と言いながらビックリしてた 笑)

でもそんなマイケルを見て

あ〜、大人になってきたんだなあと、、、




子供は、こうやって
親が始終そばにいなくても、自分で経験を糧にして成長してゆくのだと
そうやって自分の人生を歩いていくのだと


step mother(まま母)は、しばし感動に浸りながら

若き青年の顔を

見ていたことでした。








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Posted by レニア at 17:56│Comments(10)子供

この記事へのコメント

きっとマイケル君は、お二人から受けた愛情を始めとした
様々なものを糧に、一人前の大人としてグングン成長中なんでしょうね!
20歳なんて成長の伸びしろがた~~~~~くさんある時期だし
これからがまたまた、楽しみですね!
Posted by 龍神龍神 at 2012年06月23日 18:34
日本の躾でよかったと私は思います
心の芯がしっかりした人間になるでしょう
そしてこれからの人生の荒波を越えることが出来るでしょう

子供さんの笑顔いいですね!
Posted by トムとジェリーのお母さん at 2012年06月23日 22:35
ステップマザーは、継母(けいぼ)というよ。「その子の、あとを受け継ぐ母」という意味で、漢字の意味ではなるほどな~と思う。でも最近では、日本でも ステップマザー・ステップファミリーっていう単語で使ってるよ。
多分 「step」っていうのが、前向きな感じだからじゃないかな。

マイケル君、実家に自分を気にかけ心配してくれる家族がいる、って思えるだけで 強く、優しくなれると思うな。
裕子姉ちゃんご夫婦の、愛情はちゃんと届いているね!
Posted by yoko at 2012年06月23日 22:35
龍神さん、

ありがとうございます。
私自身、20歳以前より、20歳以降の20年のほうがもちろんず〜っと大変でした。でもその20年を乗り越えてこられたのは、20歳までの間に親が私の中に植えてくれた「種(?)」があったからだと思うんです。
マイケルにその種うえをしたのは夫で、私は最後のほうちょっと参加しただけ。それでも彼になにか良い種を残せたのかな。。。もしかして彼のためには居ないほうがよかったのかな、なんて思ってしまうこともあります。(ちょっと最近ネガティブ思考で、いかんとです)

20歳、ホントに「これから」ですよね〜。まだまだ心配のほうが大きいけど、ここからは本人の力を信じるしかないですよね!
Posted by レニアレニア at 2012年06月24日 04:36
トムとジェリーのお母さんさん、

ありがとうございます!そう言っていただけると救われます。
うちは夫のほうがお母ちゃんぽくて(日常の小言もふくめ)、私はここぞという時にがつんと叱るお父ちゃん役でした。夫が言うとマイケルとケンカになるんですが、私だと(よっぽど怖かったのか?苦笑)神妙に聞いてくれたからです。たぶん私には遠慮があったのでしょうね。
でも私は結局それを外国語(英語)でしますから、はたしてきちんとマイケルに伝わっているのか自信がないわけです。子供を叱るって日本語でも難しいと思いますが、日本語だったらもうちょっとマシに伝えられるのに〜と歯がゆく思ったこと何度もありました。。。

笑ってくれるとホッとします。一番難しかった時期は笑顔がほとんど見られませんでした。小さい頃は毎日笑うハッピーな男の子だったそうなので、思春期を抜けて、そんなマイケルにまた戻っていってほしいなあと思います。
Posted by レニアレニア at 2012年06月24日 04:58
yokoちゃん、

そうだ「継母(ままはは)」じゃなくて「継母(けいぼ)」という読み方があったね!これって「She is my step mom」のノリで「あの人、私のけいぼだよ」と使える言葉になったのでしょうか?それとも「あの人、私のステップマザーだよ」のほうが今では一般的なの?
ステップマザー、ステップファミリーがカタカナ語として普及してるとは知らなかったよ!貴重な情報です、ありがとう!

誰かが自分を気遣ってくれている、思ってくれているって
これほど自分に力を与えてくれるものは無いよね。
マイケルがそれを感じてくれてるといいのだけど。。。壁にぶちあたっても歩き続けられる強さをとにかく持ってほしいと、優しくよりは厳しく接してしまったような気がしてね。「実子相手でも良い母親なんてどうすればいいのか分からない。疑問符だらけだよ!」と友達に言われたことがあって、そうなのか〜と。
男の子ってさ、口数少ないからよく分かんないのよね。Yokoちゃんとこはどう? あ、まだ小さいからそんなことないか〜(笑)
Posted by レニアレニア at 2012年06月24日 05:13
ルニアさん、こんにちは
養母かなまま母と言うのは、冷酷な愛情も何も無い母親像で
それは違うと思いますルニアさんの心情は息子さんに伝わっていると思いますよ
だからこそあんな笑顔が出来るんですよ~
彼も彼なりに色んな、心の葛藤があったと思いますが
彼なりに成長したんじゃないですか
おてんと様は知っています
大丈夫頑張って下さいね…
Posted by チャチャ at 2012年06月24日 16:09
チャチャさん、

温かい励ましの言葉、本当にありがとうございます!
伝わってるかな...伝わってるといいのですが。
両親の元「のほほん〜」と青春期を過ごし、親が自分を思ってくれるのは当たり前、お金の心配など何ひとつ心配することなく授業料まで払ってもらって大学まで行かせてもらった私とは正反対で、マイケルは、人生の最初の20年でさまざまな悲しみや苦しみ、痛みを味わった子だと思います。
生みのお母さんは今では何処にいるのか、、、生きているのか否かも定かでなくマイケルも会いたくないと言います。20歳にも満たない子が自分の母親のことをそういうふうに言うなんて、どういう気持ちなんだろうと...私には理解すらしてあげられません。
チャチャさんのおっしゃる通り、彼なりに色んな葛藤があったと思います。なので時おりこうして彼の笑顔を見るとなんだか救われる気がします。
Posted by レニアレニア at 2012年06月24日 18:15
質問にだけ‥
残念ながら年齢的に、身近なのはステップファミリーのママの立場だし、ママ側の連れ子が多いから、そのお子さんがお友達に継父のことをどんな説明してるかは分かんないけど‥
でも、家族の話題の時にはその友達ママも「うちはステップだから」という風に話してるから、「ステップファミリー」という言葉は割と使われてるんじゃないかな。

言葉も生き物だから、気がつかない間にどんどん変わっていくよね。
Posted by yoko at 2012年06月24日 20:47
yokoちゃん、

なるほど、「うちはステップだから」という言い方はいかにも最近の日本語っぽいね〜。
そのうちステップとパパを合体させて「ステップパパ」なんて言葉も生まれてくるかもね。それだけ日本でも離婚して子供を連れて再婚して、というケースが多くなってきたってことだよね。

こっちは逆に親がふたりとも自分の本当のお父さんお母さんという家族のほうが少ない気がするよ。
授業で「家族」の課を教えるときにいつもそう感じるの。
日本もそのうち、そうなってしまうかな〜。
Posted by レニア at 2012年06月25日 04:45
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