スポンサーサイト

上記の広告は90日以上記事の更新がないブログに表示されます。新しい記事を書くことで、こちらの広告が消せます。

  
Posted by チェスト at

朝がまた来る

2011年02月20日

朝、ベッドでふと目を覚まして
ドリカムの「朝がまた来る」
頭の中で流れた。

雨だって晴れだって
願いは、とどかない
あなたのいない朝は来るから

壊れて泣いたって
願いは、とどかない
あなたのいない、朝が今日も明けるから。。。



長く聞いてないなあ、この曲。最後に聞いたのはいつだっけ?
ああ、そうだ。大切な人に突然去られた、あの時以来。。。
あの頃はこのドリカムの曲を何度も何度も聞いたよなあ。
あれから何年経ったんだっけ??

そんなことをボーッと考えながら、ふととなりをみると
相方が口を半開きで、平和そのものの顔でグーグー寝ていた。

前にも話したと思うが相方は普段夜中から午前中にかけて働く人なので、こうして自分が目覚めたときに彼がとなりにいることはあまりない。
普段私が目覚めた時にとなりにいるのは、だいたいネコだ。
だがこの3日間、彼は私を心配して休みを取ってくれていた。
身内に不幸があった場合、自分のために、または家族を支えるために、そうした有給休暇がきちんと会社で保証されているとのこと。ボスに「妻が日本の祖母を亡くして今こういう状態なので」と説明したら、休みが3日間も、難なくおりたという。
こういうとこ、アメリカだなあ〜と思う。

正直いって、とってもとってもありがたかった。


いっぽう木曜から仕事に復帰した私。
同僚の先生も学生も1週間以上仕事を休んだ私に文句一つ言わず、みんなとてもsupportiveだった。
1コマ目のクラスの初めには、休講にした理由を説明しなければならなかったとき不覚にも泣きそうになったが、グッとこらえて飲み込んだ。飲みこんで、そこからは少しずついつものペースに戻れた。いつも通り、なるべく笑って授業をした。
いったん波に乗ってしまうと2時間の授業が比較的スルスルと流れた。

それでも学生の中には、クラス後わざわざ私のところまできて

「Sensei, I am so sorry for your loss...」

といって、ハグをしてくれる子さえいた。

このブログを読んで、温かいメッセージを残してくれた皆さんをはじめ
自分が弱っている時には
人の優しさが、本当にしみじみと、胸にしみます。



雨なら傘持って、晴れたら上着ぬいで
皆そうして生きてゆくのに

雨に打たれたい
晴れたら焼かれたい Oh〜♪


起きて、しばらく経っても
相変わらずドリカムが頭の中で流れていた。

この週末、デスクの上には信じられないくらいの量の仕事が山積み。。。
でもいまいち集中力が戻ってこない私。
ふと窓の外を覗くと、今日のシアトルは見事な快晴だった。
午後になって、仕事の合間にしばらくリビングの窓から
ポ〜〜っと美しい青空を眺めていた。
...ら
いつの間に、キキ(ネコ)もそこにいた。

ここ数日、やたらと私の周りをついてまわるキキ。



マイケルは、私が一週間以上も家にいなかったから、キキは私がまたどこかへ行ってしまうのではないかと心配で見張っているのだと言う。


夫は、私の様子がいつもと違うから、キキはそれを感じ取って心配しているのだよと言う。



シアトルに戻ってから今日初めて、ラナイ(バルコニー)に足を踏みいれてみた。
夫が昨年の夏に組み立ててくれたこのバルコニーチェア。冬の間は全く使わなかった。
11月の大雪の時には半分雪に埋もれていたが、その割にはダメージも受けず、何事もなかったかのようにそこに鎮座していた。


バルコニーのすぐ外に立つ木は、いつのまにか芽吹いていた。
この木は、春になると、白い花をつける。
その準備を、今一生懸命しているのだなあ。

まだまだ空気はひんやり、冷たいけれど
春は、もうすぐそこまで、来ているんだなあ。。。



祖母の葬儀は、日本時間で金曜日のお昼ごろに行われた。
もちろんお葬式のために日本に帰ることは、もう出来なかった。
川内で葬儀が行われている、ちょうどその頃、私は授業の真っ最中だった。

皮肉なことに、今課のテーマは「家族」。

日本語では、自分の家族と他人の家族と、その名称が異なる。
「父」と「お父さん」
「母」と「お母さん」
「兄」と「お兄さん」
「祖母」と「おばあさん」...

そんなことをクラスで教えている最中だった。


バルコニーでしばらく、祖母のこと、そして来週の授業をどう詰めてゆこうか等、色んなことをグルグルと考えていた。
そのうちブルブルっと、ちょっと冷えてきたのでリビングのドアから部屋の中に入る。
...と
夫がちょうど、今夜BBQにするチキンの下ごしらえを、キッチンでしてくれているところだった。

私はその後ろ姿を
しばらく黙って、ながめていた。

そんな私に気づかず、彼もしばらくはチキンに集中。


柔らかい午後の日差しが差し込むキッチンで
ふと祖母が
「よかったねえ」と笑っている気がした。

写真を一枚「パシャリ」と撮ったら、その音で私に気づき
夫が振り向いた。

「I'm going to the grocery store after this. Do you need anything?」
(だからキャップをかぶっていたらしい)



「アスパラガス、おねがいします」

と日本語で言ったら

夫は、ちょっと考えて
そしてニカッと笑って

「はい」

と日本語で、言った。
  

Posted by レニア at 17:40Comments(0)