見てしまった

2010年09月04日

見てしまった。

ビックリして
ショックで
頭がしっかり理解する前に、
涙がドーッとあふれてきた。


ダウンタウンからの帰り道、いつものように高速に乗り
車を走らせていたら
すぐ横のレーンが詰まってきて
私のいたレーンに皆がどんどん車線変更してくる
「まだ渋滞の時間じゃないのに?」と思っていたら
案の定、前方に小さく、白い車が停車してるのが見えた。
あ〜、かわいそうに、こんな所で車がブレークダウンしちゃったのね

思っていた

繰り返すが、これは高速道路上でのことです

その白い乗用車がみるみる近づいてくるにつれ
車のすぐ前をさえぎるように
サンドバッグが横たわっているのが見えた
ちなみにその車は白のカローラだった
カローラが屋根にサンドバッグ積んでいた??
そしてそれが荷崩れ起こして、高速道路のどまん中で、落ちた???


などと妙に思うあいだにも
私の車はその白のカローラに、どんどん近づいていた
この間、約数秒。

なんでこんなところにサンドバッグが落ちているのか
先を走るトラックが何かが落としていったのか
それともカローラが落としたのか
私は、ちと好奇心も手伝って、その状況を見極めようと
どんどん近づいてくるその現場に、
横目で注意を払っていた

いよいよその白いカローラが
斜め前方、数十メートルというところまで来て
はっと気がついた。

人だ!!

サンドバッグじゃない!!
人だ!!

人が横たわっている!!!


しまった!と思った時には
もう遅かった

私はその光景を、しっかりこの目で見てしまった。

再度繰り返すが、
これは高速道路上でのことです。
歩行者がいるはず、ないんです!!


真横を通り過ぎる
ほんの0.3秒
男性だった。
横たわる左手が見えた
頭部は私の車線のほうを向いていたが
原形をとどめていなかったように、思う。。。
ただ紅色の液体が、広がっていた

その光景に
一瞬パニックをおこし
頭は真っ白
動悸が激しくなり

それでも私は運転中だ
高速道路を時速80キロ以上でかっ飛ばしてる最中だった
利き手の右手をハンドルに置いたまま
左手では無意識に己の口を覆い
涙だけは止めどもなく溢れてきて
声も立てずに、私はただただ泣いていた

この地点から家にたどり着くまで25分くらいかかるのだけど、
一体どうやって運転し続けた(できた)のかは、あまり覚えていない。。。


やっとこさ家に着き
玄関のドアを開けると、ちょうど相方がそこに立っていて
私の形相を見るやいなや「どうした!?」
人間おもしろいもので、気が動転してるときに外国語なんて、でてきやしません。
私はそりゃもうバリバリ日本語で、
自分が目撃してしまったショックな光景をダーッとまくしたて
もう泣いているのでろれつも回ってなくて、とにかくダーッとまくしたて
日本語を解さない旦那は
目が点
パニくるかみさん目の前に、何がなんだか訳わからず
ただおろおろするばかり

泣くって、人間の防衛本能なんだ。。。
自分が一瞬にして抱えたものすごいストレスの重圧を
泣くことによって、ずいぶん緩和できた気がする
旦那が「とにかく、これ飲んで!」と手渡してくれたビールも助けになった
収縮してた筋肉の緊張が、アルコールでほぐれて
一本飲み終えるころには、気持ちもかなり落ち着いていた
やっと、何があったのかを彼に英語で説明することができたのは
二本目を飲んでいるときだった


その人は
私が見てしまった、その人は
飛び降り自殺だった
夕方のニュースで言っていた

高速すぐ真上の陸橋から、、、飛び降りたのだ
66歳の白人男性だったそうだ
もともと自殺願望があった人のようで
直前にも、その陸橋のところで止めようとする奥さんと
激しくもみ合ってるのが目撃されていた
その奥さんの手を振り払い、彼は飛び降りたのだ
私がその奥さんだったら
気が狂う、、、!!!


同様に
たった一人の、赤の他人の死を目撃しただけでも、
人はこれだけのショックを受ける
戦争なんて、考えても見て下さい
周りで同じ人間が血みどろになってどんどん死んでゆく、、、そんな光景を見て
まともな人間が
平常心を保っていられるはずがない!

この見ず知らずの初老の男性の人生の最期を
私は偶然目にすることになった
この人はどんな人生を歩んできたんだろうと思った

同時に、あと数分早くあそこを通過していたら
彼の死を目撃する事はなかっただろう
または、警察がすでに到着して現場を囲ってしまった後だったら
あの生々しい光景を目にする事はなかっただろう

私が今回たまたま手にしてしまった
この悲しい偶然を
なんだかとてもとても胸の内深く、抱いてしまいます

まだ自分は生きている。
なんとでもなる。
がんばろう。
家族もみんな無事に
家に帰ってきてくれた
そんな今日に、ありがとう。

うまく言えないけれど
そんな事が伝えたくて書きました。

今日のブログは重い内容で、ごめんなさい。











Posted by レニア at 14:10│Comments(2)

この記事へのコメント

家に無事たどりついてよかった。
ひやひや、したよ..

帰りついた時、ダンナさまがいてよかった。
ひとりきりだったら大変なことだったよ。
自殺、日本ではね急激に増えているんだよ。
このあいだは小学校3年生のこが自殺してニュースになっていた。
なんだか..いろいろ..考えさせられるよね..
ひとって弱いんだよね..

つい、さっきまで
いきていた存在が
魂がぬけて肉の塊になる。

死ぬってどんなことなんだろう???
未だによくわからない
きっと、その時にならないとわからないんだろうなって思う。
自分の死については全くイメージすらできないけど
自分の愛するひとを悲しませたり
さみしい思いはさせたくないと思う。
それは大切なひとがいなくなった時
二度と会えなくなった時をイメージした時
そのさみしさやおそろしさが想像すらしたくないと思うから。
死んでいくひとより、残された人の孤独感や悲しみが『死』の恐怖
なんじゃないのか?って思う。
違うよね。
きっと。
あ〜やっぱりイメージできない。
...へんなコメでごめんよ。
無事帰宅できてよかった。
スティーブンがいてよかったよ、ほんとに..

実際、
イメージしているから
Posted by at 2010年09月05日 00:24
いやはや、ホントいてくれて助かったよ
ショックなものだね、、、初めてだった。あんなにリアルな人の「死」を目撃したのは。
生を授かるってものすごい確率で、しかもママのお腹の中で9ヶ月も育まれて
世に出た後も何年も守られて育てられて、やっと自分で生きていける状態になるのに
「死ぬ」って簡単に一瞬だったりする。
あとになってから思ったよ。あの人にもお父さんとお母さんがいたんだよなあって。
あの人もかつては子供で、または夢いっぱいの青年だった時代もあったわけで
色んな人に愛されて、色んな人を愛したんだよなあってさ。

「残された人の悲しみが『死』の恐怖」って
樹ちゃん、的を得てると思うよ。

それにしても、何であんなものを見せられたかなあ〜って
私あとからそっちのほう考えちゃってね。
「最近、生きることに傲慢になってたかもしれないな」って、ちょっと反省してるとこ。。。
自分も家族も、3年後5年後10年後と当然元気で生きているという仮定で
将来に不安を抱いたり欲が出てきたりするじゃん。
でもそれって決して「当たり前」じゃないんだよって
神様からの警告だったのかもしれないな。
Posted by レニアレニア at 2010年09月05日 01:40
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