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Posted by チェスト at

アリンさん

2010年06月12日

初級のクラスに「アリンさん」という学生がいる。
これがまた
シャネルのモデル並みに綺麗な子である。
なんていうんでしょう、、、「彫刻みたいな顔」って言うのかな。

(まさしく、こんな感じです)


しかもしかも
当の本人は
自分がどんなに美しいかを
全く認識していない
それどころか、「超」が3つ付きそうなくらい
めちゃめちゃシャイなお嬢さんである。

初級のクラスは、それこそひらがなの「あ」から教えます。
そこから、簡単な文章での自己紹介などなど。

35人の学生がいる教室で
アリンさんは
毎日毎日
私のまん前に座る。
そして、やたら質問の出ることの多いクラスの中で
来る日も来る日もアリンさんは
ただ黙ーって、
こちらの言うことを聞いている。

「は〜い、じゃあ、この文型使ってクラスメートとペアワークしましょう〜」と言っても
アリンさんは、そのペアワークの相手を自分で見つけられない。
そこで、
「ジョンさーん、アリンさんとやってね〜」と私がパートナーを見つけるか
欠席者がいてその日の学生数が奇数だと
私が相手になることが多い。


昨日は「いくらでしたか?」の練習で
(百の位までの数字を日本語で言わせるため)
相手が身につけている物の値段を聞くという簡単なペアワークをさせた。
アリンさんの相手は、ワタシ。
彼女は私をじーっと見て(昨日はネックレスもピアスも時計も、色々身に付けてました)
しばし沈黙、、、、猫

私の靴を見て、
またしばし沈黙、、、
(たぶん「くつ」という単語が思い出せなかったと思われる)

辛抱強く、待つ私。


そしてやっと、蚊の鳴くようなかぼそい声で
「先生、、、」
「はい」
「その、、、、ペンはいくらでしたか」
(私がその時握りしめていた、板書用に使うホワイトボードのマーカーを指して)
え?これ? これですか?

一瞬、意表をつかれた自分の「生」の声が飛び出した。
その瞬間
二人顔を見合わせて、一秒沈黙したあと
大笑い

まあ〜、その笑顔の
キラキラキラキラ可愛らしいことキラキラキラキラ
大きな澄んだグリーンの瞳に
キラキラ光がやどって、
天使のようだった。


いつもはうつむき加減で、下を向いている彼女
クラスメートと言葉を交わすこともなく、いつも一人で
黙って下を向いている彼女
この学校の、いったい何人が
彼女のこの美しい笑顔を知っているのだろうと
本当に勿体なく思いました。

アリンさんは、まだ18歳。
そして若い人は、みんなダイヤモンドの原石。
自分がどんなに価値ある存在かに気づいて
自分に誇りをもって
歩いていってほしいなあ、、、


彼女の Information Sheetには
お母さんがフランス人、
お父さんは沖縄出身の日系人とある。
残念なことに、そのお父さまは
この一月にお亡くなりになったとのこと。。。

お父さんが亡くなったあと
どんな思いで、アリンさんは
日本語のクラスを取ろうと決心したのだろうと
考えずにはいられなかった。


シアトルは学期末をむかえています。  
Posted by レニア at 19:24Comments(0)