「先生、きれいですね」
授業中、各自が練習問題をしているのを見回ってるとき
ある学生が言った。
え〜、そんなぁ〜、ちょっとー、ジェシカさ〜ん、
嬉しいこと言ってくれるじゃないぃ〜
ふいの言葉に、内心ニヤニヤ にやけていたら
「とてもきれいですね」
目線を窓のほうにうながしながら、ジェシカさんが再度言った。
「山、きれいです」
(ああ〜窓の外の景色のことね )
思わず喜んじゃったじゃないさ、ちぇーっと心の中で思いながら(自意識過剰 笑)
そうですね。雪がまだ少しあって、きれいですね。
と答えたら
学習したばかりの「きれい」という形容詞を使って日本語で私とやりとりができたことが嬉しかったようで
ジェシカさんはにっこり、とびきりのスマイルをみせた。
今学期から教えることになったこの大学は、シアトルダウンタウンのど真ん中にある。
日本語の教室からは上の写真のように「スペースニードル」が見えるし
キャンパスからはこのように高層ビル街が見えたりする。
今まで教えてきた大学は、高級住宅地域の中にあるキャンパスだったので
学生も大半が裕福な家の子や留学生で
まだ親のスネをかじりながら学生してるという子が少なくなかった。
が、今回の街中の大学は
自分で働きながら学費をはらって学校に来てるという子が多い。
キャンパスがダウンタウンにあるので、交通の便が良く
車を持っていなくてもバスで通学できるという利点がある。
がそれは 逆に言うと
車を買う経済的余裕がない子が多いということでもある。
「最新の設備が整った近代的な学校」という雰囲気ではないが、
古びた石造りの建物がなんともいえない趣を醸し出していて、私はそれが気にっている。
日本語の教室がある「Fine Arts」のビル。
今までの大学は外国語のチョイスが
「日本語」「スペイン語」「フランス語」「ドイツ語」「イタリア語」「アラビア語」「中国語」と7つもあった。
それと比較すると、今回の大学は
「日本語」「スペイン語」「フランス語」の 3つしかチョイスがなく
学科としては小さいほうだ。
でも、日本語を選択してやってくる学生を見ていると
どの大学もさほど変わらないなあ〜と感じる。
変わらずみんな同じようなところで苦労し、つまづき
それでも頑張って必死に勉強している姿は みんな同じく可愛い。
2月も終わりに近づき、今学期は残すところあと3週間。
今回「Japanese 2(2学期目の日本語)」で担当したこの子たちとは、来学期も「Japanese 3」でつき合うことになりそうだ。
「日本語は、どうですか?」と人に聞かれたら
今学期学習した 形容詞を使って
「たいへんです」とか
「すごくむずかしいです」 よりは、
「おもしろいです」とか
「とてもたのしいです」 と言ってくれる学生が
ひとりでも増えるように、、、
少しでも良い授業をしようと、ひたすらデスクに向かってしまう
相変わらずの週末でありました。