一週間の終わり。
無事に一日の仕事を終えて家に帰り着くと、9時半。
いつもなら起きているマイケルも、今夜は珍しくすでにベッドに入っていた。
ひとり静かに「ただいま〜」と玄関を入ると
ニャー...と
キキ(ネコ)が出迎えてくれた。
夫は既に就寝している時間だ。
着替えるために、そ〜っとベッドルームに入ってゆく。
着替えたあと、ベッドの脇まで行って、彼の寝顔を見る。
少し疲れた顔をしているような気がした。
今日は私が家を出る前、仕事から戻った夫とはほんの1時間ぐらいしか顔を合わせなかった。
出勤するとき、いつものように私のカバンを持ってくれ、
車が停めてあるマンションの駐車場まで、一緒に歩いてくれた彼。
そしていつものように
「運転に気をつけるんだよ」
と、ハグをして私を見送ってくれた。
今日は私が夜まで授業がある日だったので、夫はマイケルにご飯を食べさせ
夕食の後片付けまですませてくれていた。
私は家に帰り着くと、体がちょっと疲れていたのか、または仕事のストレスか
「食べたい」よりも
「飲みたい」のほうが強くて
昨日作った切り干し大根の煮物の残りをつまみに、
ビールを自分のデスクまで持ってゆき
飲みながら、頭が冴えているうちにと少し仕事を片付け始めた。
キキ(ネコ)はそんな私の足下で、体を丸め、眠り始める。
シンとした深夜の我が家。。。
仕事に一区切りついたところで、メールをチェックしたり、知り合いのブログを読んでみたりした。
よく訪れるブログの中に、N.Y.在住の日本人女性がいる。
40代後半にして待望の赤ちゃんを授かった、N.Y.在住のワーキングマミーだ。
http://ushidoshi.blog68.fc2.com/
彼女は子供を出産した後も、N.Y.でフルタイムで働いている女性。
ちなみに旦那さまは日本人。
アメリカ生活は私より長いと思うが、子供が生まれてからの彼女の生活は今までのものとは一変して
「子供のためにも働かなければならない」と
「子供ともっと時間を過ごせる母親でいたい」の間で葛藤して
それでもこの1年(息子さんはもうすぐ1歳)
ものすごーーっく
頑張ってきた女性だ。
体力的にも、並のつらさじゃなかったと思う...
そんな彼女の今夜のブログ。
「疲れた」 というタイトルに始まり
「満足のいく母親業ができていない。子供が生まれてから、旦那ともケンカが増えた。
子供の世話はもっぱら旦那に任せているため、子供も私より旦那になついている感じだ。
このままいくと、旦那と子供を失う人生も、考えていかなければならないかも知れない...」
という、とても切羽詰まった内容。
心身共にへとへとに疲れているのが伝わってくる。 胸がキリリと痛んだ。
この女性、すごい人なんです。
私の何十倍、何百倍もがんばっている方だ。
この医療費のバカ高いアメリカで、無事に子供を育てるという膨大な責任。
ほとんどの職場ではフルタイムで働いていなければ保険もおりない。(旦那さまは自営業のご様子)
「子供に万が一のことがあったとき、病院にだけは連れていけるように」
保険のことも考えて...? 勝手な憶測だが
体がボロボロにきつくても彼女が仕事を辞めないのは、そういうところにも理由がある気がする。
そして
充分に子育てに参加出来ない、家族のために時間が割けない自分のことを
責めてらっしゃる。
今夜読んだ彼女のブログには、そんな彼女の痛みがあらわに出ていた。
うちにも子供(マイケル)がいるが、私が暮らしを共にするようになった時点で彼はすでに自分で何でも出来る年齢で
私はマイケルのおむつをかえたこともないし
離乳食のことで悩んだこともない
急な発熱にビックリおったまげて、マイケルを抱いて救急病院に走ったことも
もちろん、ない...
なので、そういう乳飲み子を抱えてフルタイムで働く女性のつらさは
私には到底想像できないのです。
イマジネーションの域を超えないのです。
だから、なんというか、
何か励ましのコメントを
何か元気を出してもらえるような言葉を...
と、思うのだけれど
気の利いた言葉が思いつかないのです。
でも、
あなたがどんなに頑張ってきたか。
どんなにギリギリのところで、頑張ってきたか
その気持ちは、うまくいえないけれど、
同じ女性として分かるのです。
そこで勝手なお願い。
もしも私のこのブログを今日たまたま読んでくださった皆さんが
お子さんを赤子の時から育てた経験のある女性であるなら
そしてちょっと時間の余裕があるなら
彼女のブログを、訪れてみてくれないだろうか。
そして
もしも気が向いたなら
何か励ましの言葉を、残してあげてくれないだろうか。
私、「ことば」にはすっごーいパワーがあると思うのです。
使い方によっては、人を傷つけるけど
使い方によっては、人を地獄の底から救いもする。
今の時代は、こうしてテクノロジーが発達したおかげで
私たちは見ず知らずの、遠い土地に住む人に、何か言葉をかけてあげることができる...
それって、改めて考えると、すごいこと。
私、このN.Y.の彼女には、
経験上、何も気の利いたことを言ってあげることができないけれど
とりあえず、自分の夫には(彼が起きた時)言いました。
「疲れているみたいだね。大丈夫?
I appreciate you work so hard for the family. いつも家族のために
一生懸命働いてくれて、ありがとね。
本当に、感謝してるから...。」
夫は卸しの仕事をしているため、この寒空の下夜中から働く。
今夜も11時半には起床。
起きたばっかりで半分ポ〜〜〜ッと寝ぼけ眼の、彼。
私のことばを聞いて
目の下にクマを作りながらも、
ニカーーっと、極上の笑顔を見せてくれた。
みんな、本当にがんばってるよね。
大事な人のために、がんばってるんだよね。
そういう人たちは
称賛に値するよね。
本当に。。。
言葉が話せる私たちは、
人を元気づけるために
そして
人を幸せにするために
ことばを
使おう。